MUJINとユニクロでおなじみのファストリテイリング(以下、FR)が倉庫自動化において、提携することを発表した(2019.11.13)。その意義と今後の発展可能性について見解を書きたい。
– ユニクロのサプライチェーン改革、デジタル技術で“トヨタ生産方式の理想”実現へ
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/spv/1911/15/news047.html
現在、産業フィールドでのロボット自動化の難易度を列挙すると、アプリケーションに分類としては下記のように考えている(あくまで個人的見解)。
①量産組み立て<②食料品picking <<③工業部品binpicking<④物流palletize/de-palletize<⑤EC商品picking<⑥衣料品picking<<⑦小ロット品の組み立て
これまで自動化ラインを立ち上げ、量産品として自動化していく流れは専用自動機を設計開発し、一部をロボットを使用して自動化していくという伝統的な方策にて自動化が行われている(①)。②については、現在はスカラーロボットやパラレルリンクロボットが主流となっており、高速ビジョンと安くて早いロボットで実現するという組み合わせが主流だ。
ABB:
https://www.youtube.com/watch?v=v9oeOYMRvuQ
Staubli:
https://www.youtube.com/watch?time_continue=112&v=Em7C1SlqId8&feature=emb_logo
②における自動化の要旨は、人件費や業界の兼ね合いもあり、安く早くの要件がかなり強く、多関節ロボット(いわゆるロボット)の参入障壁はかなり高い。
③④⑤は、2010年代のコンピューテーション技術が飛躍的に高まったことによるAI・DL・機械学習だと取りだたされるようになって以降、その余波がロボット業界にもやってきてた結果急速に発展したフィールドである。
MUJINをはじめ様々なロボットベンチャが取り組んでいる主戦場である。
今回FRと取り組んでいる⑥は、ロボット業界において、認識・把持・行動計画など研究で先人が行なってきた技術的貯金があり(実用化しきれていない部分がたくさんある)、それを実用化させられる可能性の高い領域である。また、人間の根源的に欲求である衣食住のうちの一角をしめ、かつ今後より多様化していき、より店舗からECへとシフトしていく時代背景も相まって、自動化が急務で求められる領域である。
これまでの世界でロボット実用化が進んできた要因は、溶接ロボットもしかり、塗装ロボットもしかり、必要に駆られた実需が生まれ、技術の成熟が起こってきた。
このことからしても今回の提携は、アパレルの実需をロボットに結びつけたという点において、ロボット業界においてはもちろんのこと、自動化全体においてとても大きな意味を持つ。